2015年05月26日

これを逆手に取って

落語に「長屋の花見」というのがある。
貧乏長屋の大家が、みんなを連れて花見に行く噺(はなし)。
ただ、大家が大盤振る舞いする訳ではない。
貧乏なものたちが持ち寄った弁当で、花見に出掛ける。
弁当の中身は、卵焼きに似せたタクアン。
かまぼこに似せたダイコン銅鑼灣通渠
お酒はと言えば、アルコールを含んでいないタダのお茶。
そこで、誰かが酒の味について訊く葵涌通渠
「甘口の酒か?辛口の酒かい?」
長屋の男、つい、「しぶ口」と答える。
「でも、きっといいことあるよ。
なぜって?  今日は、酒柱(サカバシラ)が立ってるから」
というオチになる。
サカバシラと言えば、逆方向に据えられた柱のこと。
「フツウ、家を建てる時に使う柱は、
生育していたときと同じ向きに建てられる。
その逆に据えられると、「逆柱」と呼ばれるものになり、
夜中に家鳴りを起こすと言われたり、
家運を衰微させるとも言われたりする。
水木しげる氏にによると、柱自体が妖怪と化すともいわれる。」
逆柱は、
ちょっと警戒しなければならないということになる。
逆柱で有名なのが、
日光の陽明門の「魔除けの逆柱」。
門を支える12本の柱の一つ、右から2本目の柱だけ
他の柱と逆向きの下向きになっている。
魔除けの意味としては、
「建物は完成と同時に崩壊が始まる」という。
まるで、エントロピーの法則のような伝承があるそうだが、
これを逆手に取って、
まだ完成し切っておりませんという魔に対するポーズだという。
未完の状態にあることで、
災いを避けるという、縁起かつぎの意味がある。
「サカバシラは、やはり縁起が良い」


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Posted by oudasi at 11:52│Comments(0)ps
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